【NBA解析-ダンク】スポーツサイエンスで振り返る2016年スラムダンクコンテスト|NBA DUNK CONTEST 2016

2016 Slam Dunk Contest

2016年トロントで行われたスラムダンクコンテストは、ザック・ラヴィーンとアーロン・ゴードンの壮絶な一騎打ちとして語り継がれています。ESPNの「Sports Science」が両者のダンクを物理的に解析した映像をベースに、あの瞬間の“力・滞空・演出”を翻訳・解説。加えて各ダンクのスローモーション映像、ラウンドごとのスコア表、そして大会を彩ったエピソードも併せてお届けします。

体重比パワー出力はレブロンを上回る

まずは、ラヴィーンの驚異的な「フリースローラインからの股抜きダンク」を解析。

ESPNのスポーツサイエンスで解析したところ、ラヴィーンのジャンプの体重比パワー出力はレブロン・ジェームズを約20%上回ると推定されました。

滞空時間はジョーダンに匹敵

そのパワーでセダン一台分ほどの距離を飛び、滞空時間は約0.89秒に達します。これはマイケル・ジョーダンが1988年に見せたフリースローライン・ダンクと同等の滞空時間です。

  • 技術面:ただ遠く跳ぶだけでなく“股を通す”タイミング、ボールの処理(片手でとらえて股を通す流れ)や体のねじり、着地への姿勢制御が揃って初めて成立する高難度ダンクです。
  • 影響力:このダンクは「クリエイティブさ」と「美しさ」が両立しており、審査員・観客に与えるインパクトが非常に大きかったため高得点につながりました。

スローモーション映像でラヴィーンとゴードンのすごさを体験


マイケル・ジョーダンを上回る滞空時間

ゴードンは「マスコット(Stuff the Magic Dragon)越えダンク」を披露。ボールを持ったマスコットをゴール付近に立たせた状態でスタートするダンクは、ゴードンの驚異の跳躍力で観客を沸かせた。

3ポイントラインから助走をはじめ、マスコットの手前でジャンプ。そしてマスコットが頭の上に掲げたボールをキャッチしつつ、膝を伸ばした状態で体を腰から屈曲。ボールを、体の右側から太ももの下を通し右手から左手へボールを移す。そのまま左手でダンクをリングに叩き込む。文章にすると訳の分からない状態だが、この動作をジャンプ中のほんの一瞬の間に行っているのだから、驚くべき事だ。

この伝説的なゴードンのマスコット・ダンクにおいて、離陸から着陸までの滞空時間を計測したところ、ゴードンの滞空時間はマイケル・ジョーダンを約5%上回ると解析された。

アーロン・ゴードンのジャンプ力と、
追加推進力で生み出したオリンピックレベルの高さ

地面からの蹴り出しでは1,300ポンド(約590kg)以上の力を発揮し、さらにマスコットが掲げるボールをつかむ際に、ボールを押し下げる約35ポンド(約16kg)の追加推進を得て飛距離と高さを稼ぎました。

ダンク時に臀部が到達した高さは、
オリンピックの銅メダル級!?

その結果、臀部(大殿筋)の到達高さは“2012年オリンピックの走高跳で銅メダルが取れるレベル”に匹敵する、という表現までされました。

  • 演出力:単純な高さだけでなく“物語性”が強いダンク(マスコット越え → ボールを股下で通してダンク)で、観衆を驚かせる構成力に長けていました。
  • 滞空感の見せ方:ゴードンは空中でのポーズや視線の使い方が巧く、「より長く見える」演出効果を作れます(審査における印象点の重要要素)。

大会結果

  • 開催:2016年2月(NBAオールスター・ウィークエンド、トロント)
  • 優勝:Zach LaVine(ミネソタ) — 連覇(2015, 2016)。ゴードンは準優勝だが、そのパフォーマンスは歴史的名勝負と評される。

ラウンド/ダンク別・得点表

以下は「ラヴィーン/ゴードン 各ラウンドでの合計スコア」の一覧です。大会では各ラウンドで複数ダンクを行い、ジャッジの合計点で争われます(表内の数値は大会公式の合計点または大会記録をもとにした要約です)。出典:大会記録・Wikipedia、ESPN 記事を参照。

2016 Slam Dunk Contest — ラウンド別スコア
選手 1回目
(第1ラウンド)
決勝
(第2ラウンド)
タイブレーク1 タイブレーク2
(最終)
Zach LaVine 99 (50 + 49) 100 (50 + 50) 50 50
Aaron Gordon 94 (45 + 49) 100 (50 + 50) 50 47
備考:カッコ内はラウンド内の個別ダンク点の合計。決勝は両者100–100でタイブレークへ進出、最終でラヴィーンが勝利。
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