
今回のNBAプレイヤー解析ラボでフィーチャーするのはジャ・モラント。跳躍力(ジャンプ力)・身体能力という点ではNBAのリーグの中でも一線を画すプレイヤーだと思います。異次元の身体能力を持つモラントをESPNのYouTube動画「ジャ・モラントの爆発力の裏にある科学 | NBA Today」で特集していたので、取り上げてみました。
序章:重力を裏切る男、ジャ・モラント
ジャ・モラントは、NBAでも屈指の跳躍力と空中制御を誇るポイントガードです。彼のプレーは「跳ぶ」ではなく「浮いている」と形容されるほど。この記事では、彼のジャンプ力の秘密を科学的・構造的に分析し、その異次元の身体能力の正体に迫ります。
ジャンプ力の数値と身体的優位性
ジャンプ力は112cm、NBAのガード平均を上回る
モラントの垂直跳び最大記録は44インチ(約112cm)。これはNBAガード平均(約36インチ)を大きく上回る数値で、リングの約45cm上まで到達可能です。
ブロック範囲はセンターと同等
ESPNの分析では、彼のブロック範囲は約3,500立方フィートと推定され、これは7インチ背が高いセンターのクリント・カペラと同等。跳躍力だけでなく、空間認識力とタイミングの精度が融合した結果です。
跳躍力の科学:筋肉・神経・空間認識の三位一体
①筋肉構造:速筋繊維の爆発力
垂直跳びの推進フェーズでは、下半身の速筋繊維が瞬間的に収縮し、爆発的な力を生み出します。モラントはこの速筋の活用が非常に優れており、踏み切り時の速度は時速約32〜33kmに達します。これはオリンピックの走り幅跳び選手と同等です。
②神経制御:空中での身体マッピング
跳んだ後、モラントは空中で身体の位置を正確に把握し、制御する能力を発揮する。脳が空間内での身体の動きをリアルタイムでマッピングしており、360度回転しながらレイアップを決める際も、リングを視認している時間はわずか0.3秒です。
③空間認識力:跳躍角と軌道の最適化
モラントは跳躍角と軌道を最適化しており、助走をつけた場合、最大時速約33kmで踏み切り、軌道の頂点は約3.6mに達します。ウィングスパン約2mを加味すると、約4.9m離れた位置からダンク可能と推定されます。
実例:157cmボックスジャンプと試合での跳躍
モラントはSNSで、157cmのボックスに飛び乗る動画を公開しています。これはNBA選手の中でもトップクラスの跳躍力を証明するもので、ファンの間でも話題となりました。
試合中でもその跳躍力は遺憾なく発揮されており、以下のようなプレーが代表例です
- 2021年 vs ユタ戦(プレーオフ):47得点。頭がバックボードに届くほどのブロックを披露。
- 2022年 vs サンアントニオ戦:52得点で球団記録を更新。空中での回転レイアップが話題に。
- 2022年 vs ゴールデンステート戦:360度回転からのフィニッシュで観客騒然。
公式データで見るジャ・モラントの実績 (2021-22まで)
項目 | 数値 | 備考 |
---|---|---|
通算得点 | 5,783点 | 2019〜2024年 |
通算アシスト | 1,903本 | 高いプレーメイク力 |
通算リバウンド | 1,243本 | PGとしては優秀な数字 |
トリプルダブル | 11回 | 空中制御と視野の広さの証明 |
FG成功率 | 47.2% | 高効率なフィニッシュ力 |
まとめ:跳躍力の科学が生んだNBAの異能
ジャ・モラントは、筋肉・神経・空間認識の三位一体によって跳躍力を最大化しているプレイヤーです。彼のプレーは、NBAにおける「空中支配」の新たな定義を生み出しており、今後もその進化から目が離せません。