
ゴールデンステイト・ウォリアーズが、新シーズンに向けて大きな話題を呼ぶ補強を行った。ベテランシューターのセス・カリーが1年契約で合意し、ついに兄ステフィン・カリーとの“兄弟共演”が現実のものとなったのだ。NBAファンにとって長年の夢が、2025-26シーズン開幕前に実現する。
初の兄弟タッグ、ファンの熱狂

ステフィン・カリーは言わずと知れたリーグ史上最高のシューターであり、ウォリアーズ王朝の象徴。一方のセスもまた、通算3ポイント成功率で40%を超える純粋なシューターとしてキャリアを築いてきた。
これまで二人は何度も同じコートに立ったが、常に“敵同士”だった。プレーオフで激突した際には「兄弟対決」がメディアを賑わせたが、ついに同じユニフォームを着て戦うことになる。NBA史上でも珍しい兄弟バックコートは、話題性だけでなく戦術的にも興味深い。
契約の背景とロスター事情
報道によれば契約は1年。ウォリアーズは昨季のロスターを大きく再編し、若手とベテランを組み合わせた新体制に挑んでいる。その中でセスの加入は「低コストで即戦力を確保する動き」として評価されている。
ただし、キャップスペースには制約があり、契約形態や登録方法については微調整が必要になる見通しだ。一度ウェイブしてから条件が整い次第再契約する可能性があるなど、運用上の複雑さが残されている。
フロント陣は「セスは戦力として計算している」と強調しており、ロスター確定時点での処遇が注目される。
チーム戦術への影響
ウォリアーズといえば、スモールラインナップと3ポイント主体のオフェンスが代名詞だ。セス・カリーはそのシステムに自然にフィットする存在であり、ベンチからの出場でもアウトサイドシュートの脅威を維持できる。
ステフィンとの同時起用はもちろん、セスがセカンドユニットを引っ張る形も考えられる。特に昨季、セカンドユニットの得点力不足が課題だったウォリアーズにとって、外角から安定して点を取れるオプションは大きい。
さらに、兄弟揃っての「オフボール・ムーブメント」は相手ディフェンスを混乱させるだろう。ステフに二人がかりのディフェンスを仕掛けても、逆サイドにセスが待ち構える。ウォリアーズのシステムにとって理想的な補強と言える。
兄弟の物語性とファン心理
この契約には戦術以上の意味がある。NBAは数々の兄弟プレイヤーを生んできたが、ステフィンとセスのように両者がリーグを代表するシューターであり、しかも同じチームでプレーするケースは極めて珍しい。
ファンの間では「カリー兄弟のダブル3ポイント」や「どちらが先に長距離を沈めるか」といった夢のシナリオが語られている。セス自身も冗談めかして「兄から背番号30を譲ってほしいと頼んだが、断られた」とコメントし、SNSで話題をさらった。こうしたエピソードがシーズンを通じて注目を集めるだろう。
課題と見通し
一方で、兄弟共演には課題もある。セスは近年ケガで出場機会を減らしており、コンディション管理が重要になる。ウォリアーズは若手の育成とベテラン起用のバランスを取らなければならず、セスがどれだけ安定してプレーできるかが鍵だ。
また、守備面ではサイズ不足を突かれる可能性もある。ステフとセスを同時に起用するラインナップは、得点力では魅力的だがディフェンスでのマッチアップに不安が残る。スティーブ・カーHCがどうバランスを取るか、戦術的な駆け引きも見どころとなる。
まとめ:夢が現実となるシーズン
ステフィンとセス。長年NBAファンが夢見てきた兄弟コンビが、ついに同じユニフォームを着てシーズンを戦う。ウォリアーズにとっては戦力補強であると同時に、ファンにとっては物語性あふれる瞬間だ。
果たして二人がコートに立った瞬間、チェイス・センターはどんな熱狂に包まれるのか。2025-26シーズンのウォリアーズは、戦術面とストーリーテリングの両面でリーグ随一の注目チームになることは間違いない。
セス・カリーのプロフィール
- フルネーム:Seth Adham Curry(セス・アドハム・カリー)
- 生年月日:1990年8月23日
- 出身地:アメリカ合衆国 ノースカロライナ州 シャーロット
- 身長/体重:6フィート1インチ(185cm)/185ポンド(約84kg)
- ポジション:シューティングガード/ポイントガード
- 父親:デル・カリー(元NBA選手)
- 兄:ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)

NBAキャリアの軌跡
セス・カリーは、ノースカロライナ大学での活躍を経て、2013年のNBAドラフトで指名を受けることなくプロ入りしました。その後、複数のNBAチームでプレーし、特に3ポイントシュートの精度の高さで評価されています。
これまでに所属した主なチームは以下の通りです:
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サンタクルーズ・ウォリアーズ(Gリーグ|2013–2014)
2013年11月1日、ゴールデンステイト・ウォリアーズからアフィリエイト選手として移籍。
2013–14シーズンでは、平均19.7得点、3.1リバウンド、5.8アシストを記録。 -
メンフィス・グリズリーズ(2013–2014)
2013年12月24日に契約。2014年1月5日にNBAデビューを果たすも、その後ウェイブ。 -
クリーブランド・キャバリアーズ(2013–2014)
2014年3月21日に10日間契約を結ぶが、その後再契約されずウェイブ。 -
フェニックス・サンズ(2015)
2015年3月11日に10日間契約を結ぶが、再契約されずウェイブ。 -
サクラメント・キングス(2015–2016)
2015年11月に契約、シーズン中にウェイブ。 -
ダラス・マーベリックス(2016–2017, 2019–2020, 2023–2024)
2016年に初契約、2019年と2023年に再契約。 -
ポートランド・トレイルブレイザーズ(2018–2019)
2018年に契約、シーズン終了後ウェイブ。 -
フィラデルフィア・76ers(2020–2022)
2020年11月にトレードで移籍、2022年にブルックリン・ネッツへトレード。 -
ブルックリン・ネッツ(2022–2023)
2022年にトレードで移籍、2023年に再契約。 -
シャーロット・ホーネッツ(2023–2025)
2023年に契約、2025年に再契約。 -
ゴールデンステイト・ウォリアーズ(2025–現在)
2025年10月、1年契約で再契約。