
2025年10月、NBAにまた一つ“静かな補強”が加わった。
ベテランビッグマン、アル・ホーフォードがゴールデンステイト・ウォリアーズと契約。39歳、キャリア17年目の男が、再び優勝を狙う舞台に立つ。
【動画】移籍会見の様子(14:11)
アル・ホーフォードは、ゴールデンステート・ウォリアーズと契約する決断について報道陣の前で説明した。
ホーフォードとは何者か?
アル・ホーフォード──派手さはないが、守備・IQ・リーダーシップで17年にわたりNBAを支えてきた“静かな知性”。
アトランタ、ボストン、フィラデルフィア、OKCを経て、今季はウォリアーズへ。その価値は、数字では測れない。
※詳しいプロフィールは記事末尾に掲載
契約内容と海外メディアの報道
ホーフォードはウォリアーズと2年総額約1,165万ドル(約17.5億円)の契約を締結。
この契約には2年目のプレイヤーオプションが含まれており、本人の意向で去就を選べる柔軟性がある。
ESPNによる報道
- ウォリアーズはタックスペイヤー・ミッドレベル例外(約570万ドル)を活用。
- ジョナサン・クミンガとの契約交渉が決着したことで、ホーフォードとの契約が正式に進行。
ホーフォード本人のコメント

「ここで競い、高いレベルで勝てる機会を得られるのは素晴らしいことだ」とアル・ホーフォードは語った。
「ウォリアーズを考えると、ステフ(カリー)やドレイモンド(グリーン)、そしてスティーブ・カーの存在が思い浮かぶ。ジミー・バトラーが加入後のシーズン後半に見せたプレーや、チームの戦いぶりを見てきた。自分がこのチーム(セルティックス)を離れるなら、それはこのため(ウォリアーズに来るため)しかないと思ったんだ。」
ESPN が伝えた Kerr のコメントからの抜粋は次の通りです(記事の引用部分)
“It’s a great opportunity to compete and win at a high level,” Horford said.
“When I think about the Warriors I think about Steph [Curry] and Draymond [Green] and Steve Kerr. Seeing Jimmy Butler here, what he did in that second half of the season after the trade and how they’re playing. For me, if there was one place I was going to leave, it was for this.”
※出典: NBC Sports Bay Area
スティーブ・カーHCの評価

「スペース5(フロアを広げられるセンター)を獲得できるのは大きい。ただのスペース5ではなく、アル・ホーフォードという選手だ。リバウンドを取り、守備し、賢く、パスもうまい……今日彼を見ているとフィット感がよく分かる。
ドレイモンドと一緒にプレーできるし、5番としてフロアを広げられる。トレイス(・ジャクソン=デイビス)とも併用でき、トレイスがダイブマンになる形でツービッグも可能。
単独で5を務めることもでき、5アウトのラインナップも作れる。つまりホーフォードの多才さと、どんなラインナップにもフィットするという事実がすぐに大きな価値をもたらす。」
“It’s huge to not only to have a space 5, but it’s not just any space 5 — it’s Al Horford,” Kerr said Wednesday. “He rebounds, defends, smart, good passer … just watching him today, you can see the fit, how smooth it is. He can play with Draymond, space the floor as a 5, he can play with Trayce [Jackson-Davis], and Trayce can be the dive man and play two bigs with him. He can also play the 5 himself, and we can have a 5-out lineup. So, Al’s versatility and the fact that he fits in any lineup makes him hugely valuable right away.”
※原文中の “space 5” は文脈上「スペースを作れるセンター(センターながらフロアを広げられる選手)」を指す用語。「スペース5」「スペース・ファイブ」「スペーシングができる5番」などと表現できます。
なぜセルティックスを離れたのか?
- ジェイソン・テイタムのアキレス腱断裂により、セルティックスは“ギャップイヤー”に突入。
- ホーフォードは「毎年優勝を狙える環境でプレーしたい」と語り、ウォリアーズを選択。
- ブラッド・スティーブンス(セルティックス編成責任者)も「契約面で制約があり、ホーフォードの希望に応えられなかった」とコメント。
ホーフォードの価値とは?
- 守備IQとポジショニング:GSWのスイッチディフェンスに自然にフィット
- ストレッチ5としての適性:昨季は3P成功率36%、キャリア平均37%
- ロッカールームの安定化:カリー、バトラー、ドレイモンドとの相性も良好
ホーフォードは、数字では測れない“空気を整える力”を持っている。GSWのような複雑なシステムにおいて、それは極めて重要だ。
ホーフォードの詳細プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
生年月日 | 1986年6月3日(39歳) |
出身地 | ドミニカ共和国・プエルト・プラタ |
身長・体重 | 208cm・109kg |
ポジション | PF / C(ストレッチ5としても機能) |
大学 | フロリダ大学(Billy Donovan指導下で2連覇) |
NBAドラフト | 2007年 1巡目3位(ATL) |
国際経験 | ドミニカ共和国代表。父Tito Horfordも元NBA選手 |
主な実績 | NBAオールスター5回、NBAファイナル進出(2022年)、NCAA連覇(2006・2007) |
人格面 | 「プロフェッショナル」「謙虚」「知的」と評される人格者 |
まとめ
ホーフォードの加入は、GSWの“ラストラン”を支えるピースとなるかもしれない。
ステフ・カリー(37歳)、ジミー・バトラー(36歳)、ドレイモンド・グリーン(35歳)──彼らとともに、39歳のホーフォードが“老練な知性”で勝利を引き寄せる瞬間が、今季の見どころになる。
ホーフォードは「もしセルティックスを離れるのであれば、選択肢はウォリアーズしかなかった」と語り、セルティックス残留も視野に入れていたことを示唆した。
しかし、このコメントから読み取れるのは、移籍先をウォリアーズ一本に絞っていたアル・ホーフォードの強い想いではないだろうか。今シーズンのウォリアーズは要チェックです。